腰痛の一般的な3つの疾患
●腰椎椎間板ヘルニア(ようつい ついかんばん へるにあ)
背骨には、骨と骨の間でクッションの役割をしている椎間板(ついかんばん)という軟骨があります。この椎間板の一部が外に飛び出して、周囲の神経を圧迫し、痛みやしびれを引き起こす病気が、椎間板ヘルニアです。この症状が腰椎(ようつい:腰の骨)で起こると「腰椎椎間板ヘルニア」と呼ばれ、多くの方々の腰痛の原因になっています。
椎間板ヘルニアは、ヘルニアの程度によって様々な症状があります。腰や足が痛くても、楽な姿勢で横になって休んでいれば1〜2週間で痛みが軽くなることもあります。しかし、重症になると排尿障害、長期化すると大腿や下腿の筋萎縮(足の筋肉が痩せてしまう病気)を引き起こすことがあります。腰痛はいろいろな病気で起こるので、腰痛だけでは腰椎椎間板ヘルニアとはいえません。ただし、足に痺れがあるときは要注意です。飛び出した椎間板は、多くの場合、片側の神経を圧迫する程度の大きさですので、しびれは片足に起こります。腰が痛くなり、片足だけにしびれを感じたら、腰椎椎間板ヘルニアの可能性があります。そういうときは、迷わず専門医に診せてください。
●骨粗鬆症(こつそしょうしょう)
骨粗鬆症は、骨の密度が低下し、骨の量が少なくなる病気です。骨粗鬆症によって骨がもろくなると、つまずいて手や肘をついた、しりもちをついた、くしゃみをした…などのわずかな衝撃でも骨折してしまうことが少なくありません。
骨粗鬆症は、閉経期以降の女性に多く見られる病気ですが、若い人でも栄養不足や運動不足、ステロイド剤などの影響で発症することがあります。私たちが生きている間、骨は形成と破壊を繰り返しています。このバランスが崩れることによって、骨粗鬆症は起こるのです。
症状が進み、骨の密度が低下すると、いつの間にか骨が潰れていたり、身長が縮んでいたり、猫背になったり、腰痛や骨折などの症状を引き起こし、生活に支障をきたします。
また、こうしたけがで入院をしたり、寝たきりになるなど、生活リズムが崩れてしまうと、高齢の方は一気に認知症・痴呆が進んでしまいます。
●坐骨神経痛(ざこつしんけいつう)
坐骨神経(ざこつしんけい)は、腰から足の先までつながっている、人体のなかでも最も太くて長い、何本もの神経が集まった、神経の束のようなものです。この坐骨神経が圧迫されると、その周辺にある知覚領域(痛みを感じるエリア)が刺激され、腰や足などに電気が走ったような痛みや、ピリピリしたしびれ、麻痺などを引き起こします。
坐骨神経痛は、軽度のうちなら、日常の姿勢や動作を見直して、ストレッチなどを習慣化することで、自分でも予防したり、改善したりすることができます。ただし、強い痛みやしびれを感じたり、腰が曲がらない、歩くのがつらい…といった症状があった場合は、重症になっている可能性が高いです。必ず受診して医師の指導を受けてください。